【屋根塗装】屋根塗装に縁切りが必要な理由と正しいやり方

「屋根塗装のときは【縁切り】をしないと雨漏りする!」

こんな話を聞いて、本当に?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

 

縁切りとは、スレート屋根を塗装したあとに塗膜でくっついてしまった部分を、手作業で切って隙間をあけていく作業です。

実際、スレート屋根(コロニアル・カラーベスト)は単に塗るだけだと雨漏りの可能性があるため、基本的に縁切りは必須作業です。

ただ、場合によっては、例外的に縁切り不要なこともあります。

 

今回は、縁切りの役割と必要性、縁切り不要なパターンをご紹介します。

ご自宅の屋根は縁切りするべきなのか、判別してみましょう。

 

ただ、実は縁切りも完璧な工法ではなく、いくつかデメリットもあります。

それを解消できる「タスペーサー」という道具についてもご紹介しますので、見積もり時に相談してみて下さい。

 

屋根塗装における「縁切り」の役割

「縁切り」とは、スレート屋根を塗装した後、屋根同士がくっついてしまった場所を、塗膜カッターや皮スキという道具を使って剥がして隙間を作る作業です。

新築時はスレート同士の重なり部分には水が通れる程度の隙間があるので、雨が降っても下へ下へと排水してくれます。

しかし塗装をすると、この隙間が塗料で完全に埋まってしまい、水が抜けなくなってしまいます

 

■塗装前の屋根

 

新築時の状態なら、雨が降っても水はすぐ抜けていきます。

 

■そのまま塗装すると…

 

■塗料でくっついてしまった屋根

重なり目(屋根の先端)の隙間が塗料で埋まって排水できず、屋根に染みができています

こうなると、屋根の内側に水が溜まりつづけ、いずれ雨漏りを起こしてしまうのです。

 

■天井の染み(雨漏り)

 

縁切りとは、排水できる隙間を作って雨漏りを防ぐための、とても重要な作業なのです。

 

最近は多くの塗装業者が縁切りの必要性を分かっていますが、中にはまだ知識がない、そのまま塗装してしまう業者も存在します。

スレート屋根のお家の方は、塗装のときには必ず縁切り作業をしてもらいましょう

 

ただし、例外的に縁切りしなくても良い屋根もあります。

次の章では、その縁切り不要な屋根について解説していきます。

※スレート以外の塗装する屋根(セメント瓦、モニエル瓦など)は、元の構造や厚みなどから塗装しても雨漏りの心配はないので、基本的に縁切りはいりません。

 

縁切りが不要な屋根

スレート屋根塗装では、基本的に縁切り作業が必須ですが、例外もあります。

・勾配が急

・経年劣化で先端が沿っている

という場合です。

 

●勾配が急な屋根

5~6寸勾配以上の急傾斜の屋根の場合は、縁切りが必要ありません。

傾斜のおかげで水はけが良く、塗料も溜まりにくいため、雨漏りの心配が無いからです。

 

急勾配の屋根のお家は、縁切りしなくても大丈夫ですのでご安心ください。

※必ず専門業者の点検を受けて判断してもらいましょう。

 

●経年劣化で沿っている屋根

スレート屋根は築7~8年を過ぎると経年劣化をしてきて、先端が反りあがることがあります。

反って3~5mmほどの隙間ができてしまっている場合は、縁切りが不要です。

これだけの隙間があれば、そもそも塗料が詰まることもないからです。

 

■反っているスレート屋根

右側のスレートが大きく反って浮いています。

塗装してもこの隙間から排水できるため、ここは縁切りをする必要がありません。

 

屋根の反りは日当りの良い南面で特に起こりやすいです。

そのため1軒のお家でも、「1面だけ縁切りなし、残りの面は縁切りする」ということがあります。

 

見積もり時にはきちんと屋根の点検をしてもらい、縁切りがいるのかどうか、各面をチェックしてもらいましょう。

 

正しい縁切り方法

縁切り作業は、30坪程度のお家1軒あたり5~6万円前後が相場になります。

専用の塗膜カッターや皮スキなどの道具を使って、1枚1枚手作業で塗膜を切っていきます。

職人1~2人で1日がかりの作業になることが多いです。

縁切りのタイミングは、塗装が完了してから数日後、しっかり塗料が乾いてからがベストです。

塗った直後だと塗料が乾ききっておらず、縁切りしてもまたすぐくっ付いてしまう可能性が高いからです。

外壁や雨樋塗装などほかの作業をすすめておいて、縁切りは工事の最後の方に、しっかり乾いてから行います。

 

縁切りより安心!「タスペーサー」とは

スレートの雨漏り防止に必須の縁切り作業ですが、実は問題点もあります。

・ガリガリと削るので、周りの塗膜や屋根材を傷つけてしまう

・せっかく綺麗に塗った屋根の上をまた歩いて汚す可能性がある

・塗装後しっかり乾燥させないといけない

…といった点です。

そこで最近は、従来の縁切りの問題点を解消できるタスペーサーを使った縁切りをする塗装店が増えています。

 

■タスペーサー

ポリカーボネート製の手のひらサイズの部材です。

スレートとスレートの重ね目に差し込んで使用します。

 

■作業の様子

中塗りの前にひとつひとつ手で差し込んでいきます。

適度な隙間が確保されるため、この上から塗装しても隙間が塗料で埋まることがありません。

 

差し込んでしまうと、ほとんど外からは見えません。

紫外線を浴びることが無いので、タスペーサー自体はほとんど劣化しません。塗装後もこのまま入れっぱなしで大丈夫です。

 

※塗装後、強風などでタスペーサーが落ちることが稀にありますが、既に隙間は確保されているため後から雨漏りする心配はありませんので、ご安心ください。

 

もしも縁切りされていなかったら屋根・屋根裏のチェックを

既に屋根塗装を終えた方で、「もしかしてうち、縁切りしていない…?」と思った方は、まずは業者を呼んで点検してもらいましょう。

・屋根点検…縁切りされているかいないかのチェック

・屋根裏点検…縁切りされていなかった場合、雨漏りが起きていないかのチェック

を実施してください。

雨漏りしていなければ、改めて縁切りしてもらい、今後水が溜まるのを防ぎましょう。

万が一雨漏りを起こしていた場合は、内部の木材の被害状況なども確認して、修繕工事が必要です。

何もせずに年数が経つと、どんどん水が入ってしまう可能性が有るので、気付いた段階で早めに対処してください。

 

屋根塗装工事についてのお問い合わせはカナリアペイントへ

「縁切り」とは、塗装後のスレート屋根の塗膜を切って水の抜け道を作る作業です。

縁切りをしないと屋根の中に水が溜まって雨漏りに繋がるため、スレート塗装時には必須の作業です。

ただ、急勾配の屋根や経年劣化で先端が反っている屋根の場合は、縁切りが不要です。

しかし従来のカッターなどを使ったやり方だと、せっかく塗った塗膜を傷つけたりするデメリットもあるため、最近は「タスペーサー」を使用する業者が多いです。

スレート塗装時にはタスペーサーでの縁切りをおすすめします。

もしも既に塗装をした方で、縁切りされていないことに気づいた場合は、屋根点検・屋根裏点検をして状況を確認し、再度の縁切りか雨漏り修繕工事を行ないましょう。

縁切りは雨漏りを防ぐためのとても重要な作業です。

必要性をしっかり見極めて、適切な塗装工事ができるようになりましょう。

 

 

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