外壁塗装|塗料の種類・耐用年数
外壁塗装は建物のリフォームおよびメンテナンスとしても重要ですが、いざ塗り替えをしようと思ったら塗料の種類が多すぎて迷ってしまうこともあるでしょう。
今回は、外壁塗装に使用される塗料の種類とそれぞれの特徴、選び方などについて解説していきます。これから外壁塗装を検討している方はぜひ参考にしてください。
建物に外壁塗装が欠かせない理由
そもそも建物には、なぜ外壁塗装が必要なのでしょうか?
外壁塗装の塗料選びに失敗しないためには、まずは外壁塗装の目的をしっかりと理解することが大切です。
紫外線や風雨から建物を守るため
外壁塗装のもっとも重要な役割は「外壁をガードして建物をガードして建物を保護すること」です。
劣化によって外壁にひび割れなどが起こると、壁面の強度が下がる、水が染み込んで柱や床が腐るなどのトラブルにつながり、建物自体の寿命を縮めます。
しかし外壁塗装をすれば、塗膜(塗料が固まってできた膜)が紫外線や風雨なども外壁刺激から外壁をガードするので、劣化のスピードを遅らせることができるのです。
ただし、塗膜もまた外からのダメージを受けて劣化していくため、定期的に塗り替えをして機能を維持する必要があります。
建物の安全性や機能性を維持するためには、定期的に塗り替えをして外壁のコンディションを良好に保つことが重要です。
建物の美観を保つため
外壁は「建物の顔」とも言えるので、建物の美しさを保つためにも外壁塗装は大切です。
経年劣化による色のくすみ・塗装の剥がれ・ひび割れなどはもちろん、洗浄しただけでは落ちにくい頑固な汚れ、カビ・コケなども建物の美観を損ねてしまいます。
ところが外壁塗装をすると、建物は見ちがえるように生まれ変わります。築年数が経過した建物も、新築のような外観を取り戻すことができるでしょう。
外壁塗装に使用される塗料の成分
外壁塗料の種類を紹介する前に、塗料を構成する成分について解説します。
一般的な塗料は、以下の4つの成分からできています。
顔料
塗料の色彩をつくる着色顔料、塗膜の厚みや光沢を調整するための体質顔料のほか、防錆や防カビなどの機能を追加する機能性顔料などがあります。
合成樹脂
塗膜の主成分となるもので、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂などがあります。
多くの塗料は、「アクリル塗料」「ウレタン塗料」のように、主成分である樹脂の種類によって呼び分けされています。
添加剤
塗膜の副成分となるものです。防紫外線・防水・防錆・防カビ・防藻・防腐・凍結防止などの機能を追加したり、塗料の接着力を強化したりすることができます。
雨水で筋が発生するのを防ぐ低汚染加工や、銀を配合した抗菌加工なども人気です。
溶剤
塗料をのばすための液体です。溶剤にシンナーなどを使っている塗料を油性塗料、水を使っている塗料を水性塗料と呼びます。
かつては水性塗料よりも油性塗料のほうが耐久性・耐候性(紫外線や風雨などの外的要因への耐性)が高いという認識でした。
しかし、油性塗料に匹敵する強度の水性塗料が開発されたことと、環境への配慮や作業性の観点から、近年の外壁塗装の主流は水性塗料になっています。
外壁塗料の種類と特徴
外壁塗装の目的や塗料の成分がわかったところで、いよいよ外壁塗装に使われる塗料について解説していきます。
アクリル塗料
アクリル樹脂を主成分とした塗料です。
耐用年数は約5~8年、屋外ではさらに短くなることもあるため、近年の外壁塗装ではあまり使われなくなってきました。
また、湿度を通しやすく、木材など水分を嫌う外壁材には特に向いていません。
その一方で、アクリル塗料には、発色が良い・価格が安いという特徴もあります。
できるだけコストを抑えたい場合や、短いスパンで塗り替えを予定している場合、期間限定の建物などには、アクリル塗料を選ぶメリットがあると言えるでしょう。
ウレタン塗料
ウレタン樹脂を主成分とした塗料です。アクリル塗料と並ぶ低価格帯の塗料で、耐用年数は約7~10年となっています。
ウレタン塗料の最大のメリットは、接着力が強く躯体(塗装するものの素材)を選ばないことです。
木材、コンクリート、金属など、あらゆる外壁材に塗ることができ、塗装が難しいとされるガラスに接着するものさえあります。
近年ではグレードの高い塗料との価格差が小さくなり、ウレタン塗料の需要は減っています。しかし壁材によっては、あえてウレタン塗料が選ばれるケースもあるようです。
ただし紫外線に弱いため、場合によっては添加剤の追加が必要かもしれません。
シリコン塗料
シリコン樹脂を主成分とした塗料です。シリコン塗料と呼ばれていますが、シリコンのみで塗料を作るとはじいてしまうため、実際にはシリコンとアクリルが重合されています。
シリコン塗料の魅力はコストパフォーマンスです。
ウレタン塗料やアクリル塗料より高価ですが、それほど大きな価格差はなく、耐用年数は約10~13年程度とされています。
外壁塗装で長く使われてきたスタンダードな塗料ですが、近年は後出の「ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)」などの登場によって、人気が衰えつつあるようです。
フッ素塗料
フッ素樹脂を主成分とした塗料です。アクリル塗料・ウレタン塗料・シリコン塗料と並び、外壁塗装で長く使われています。
4種類の中ではもっとも高額ですが機能性も高く、耐久性・耐候性(紫外線や風雨などの外的要因への耐性)にすぐれ、約13~15年を超える耐用年数を誇ります。
短いスパンでの塗り替えが難しいビルやマンションの塗装で重宝されているほか、公共の建物に使われることも多いです。
あの東京スカイツリーにもフッ素塗料が採用されています。
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)
2010年代から発売が始まり、近年の外壁塗装ではシリコン塗料に代わってスタンダードになりつつある塗料です。
主成分の合成樹脂に塗膜の変色や劣化を防ぐ「光安定剤」や「高耐候酸化チタン」をプラスしたハイブリッド塗料で、紫外線や風雨で劣化した外壁に発生するチョーキング現象(触ると白い粉がつく現象)を抑える機能があります。
配合されている合成樹脂(アクリル・シリコン・フッ素など)は製品によって異なります。
シリコン塗料よりも少し高額ですが、約12~15年程度の耐用年数(合成樹脂の種類によって変動)と、フッ素塗料にも匹敵する耐久力が期待できるため、費用対効果は十分と言えるでしょう。
セラミック塗料
合成樹脂にセラミックが配合されているハイブリッド塗料です。
セラミックの親水性の高さを利用した低汚染性塗料、セラミックビーズを加えて熱を遮断する断熱・遮熱塗料などがあります。
また、陶磁器の材料を吹き付けて外壁を石材調にデザインするときにも、セラミック塗料が使われます。
耐用年数は、主成分として配合されている合成樹脂(アクリル・シリコン・フッ素など)によって異なりますが、約10~20年とされています。
ピュアアクリル塗料
不純物を完全に取り除いた純度100%のピュアアクリル塗料は、フッ素塗料に匹敵する汚れにくさと約13〜15年を超える耐用年数が期待できます。
弾力性がありクラック(裂け目・割れ目)になじんでくれるので、モルタルなどクラックが入りやすい外壁の塗装に向いています。
外壁の劣化を目立たなくするほか、雨水などの侵入も防いでくれるでしょう。
ただし、現状ではピュアアクリル塗料の多くが海外生産品のため、気候条件に適しているかなどの精査が必要になるかもしれません。価格の目安はフッ素塗料と同程度です。
無機塗料(有機無機ハイブリット塗料)
炭素を含まない無機物(セラミックやケイ素など)を主成分に加えて作られた塗料です。
アクリルやウレタンなどの有機樹脂は、柔軟性の高さがメリットですが、紫外線で劣化するという弱点があります。
一方で無機物は紫外線で劣化せず、硬くて燃えにくいなどの性質を持っています。無機塗料はその性質を利用した、とても耐久性の高い塗料なのです。
無機物100%だけでは硬くて塗料として使えないため、実際には有機物と混ぜて作られており、「有機無機ハイブリッド塗料」と呼ばれることもあります。
耐用年数は約10~25年にものぼり、防火性が高い、汚れが落ちやすい、カビやコケが繁殖しにくいなどのメリットがありますが、その分価格は高額です。
光触媒塗料
白色顔料である「酸化チタン」を主成分とした塗料で、セルフクリーニング機能が注目されています。
酸化チタンは親水性が非常に高いため、雨水によって汚れを洗い流せることに加え、紫外線が当たると化学反応が起こり、壁面に付着した汚れを分解してくれるのです。
ハイグレードな塗料なので高額ですが、耐用年数も約10~20年と長く、頻繁な塗り替えや定期的な洗浄が難しい高層ビルなどの外壁塗装に適しています。
後々のランニングコストを抑えるために、初期投資として光触媒塗料を選ぶケースもあるようです。
ただし、日当たりの悪い建物ではセルフクリーニング効果が発揮されにくい、白色顔料が主成分のため濃い色の外壁にできないなどの注意点があります。
ナノテク塗料
ナノテクノロジーを駆使して、合成樹脂(アクリルシリコン)の配合量を抑えた塗料です。
合成樹脂は石油系の原料なので、CO2の排出量が多くなってしまいます。そこで、CO2を削減して地球温暖化を抑制するために、ナノテク塗料が開発されました。
燃えにくく防火性が高い、防カビ性がある、雨水で汚れが落ちる、シックハウス対策に有効などのメリットがあります。
耐用年数は約12~15年と長く、価格の幅が広いので製品によってはコストも抑えられます。
ただし、まだ取り扱っている業者が少ないため、ナノテク塗料で外壁塗装をしたい場合は事前の確認が必要です。
外壁塗装の種類はどう選ぶ?
外壁塗装に使われる塗料の種類や特徴を知ったら、いよいよ塗料の選択です。何を基準に選ぶべきか迷っている方のために、2つの方法をご紹介します。
目的や環境に合った塗料を選ぶ
外壁塗装の一番の目的は「建物を守ること」です。
建物は日々さまざまなダメージを受けていますが、「特に何から守りたいのか・何のダメージを受けやすいのか」を判断材料のひとつにしてみてください。
日当たりが良い建物であれば紫外線対策、湿気の多い場所にある建物には防カビ・防藻(コケ)、密集地にある建物は防火対策などもポイントになってくるでしょう。
できるだけコストを抑えたいと考える方も少なくないと思いますが、外壁の劣化によって建物が傷むと、結果的には外壁塗装以上のコストがかかってしまうかもしれません。
目的や環境に合った塗料で外壁塗装を行えば、しっかりと建物を保護して建物の寿命をのばすことが可能です。
業者に相談しながら選ぶ
「外壁塗装の種類と概要はわかったけれど、専門知識がないからやっぱり不安…」という方は、業者に相談しながら選びましょう。
多くの業者は親身になって相談に乗ってくれます。建物の立地や気候条件、実際の劣化症状などを見ながら、豊富な知識と経験の中から建物に適した塗料を提案してくれるでしょう。
万が一、必要以上に高額な外壁塗装を勧められたり、相場以上の請求をされたりしたときも、これまで紹介してきたことを基礎知識として持っておけば安心です。
お家のご相談はカナリアペイントへ
カナリアペイントでは、お家の相談・点検・見積もりを無料で承っております。
お家の事で気になる点がございましたらお気軽にお申し付けください。
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