屋根塗装における「縁切り」とは?

屋根塗装で縁切りが見落とされがちな理由

屋根塗装を検討されている方の多くは「どんな塗料を使うのか」「何年くらいもつのか」「費用はいくらかかるのか」といった点に注目されると思います。これらはもちろん重要で、屋根塗装の満足度を左右する大きな要素です。

しかし実際の現場ではそれらと同じくらい、場合によってはそれ以上に重要でありながら十分に説明されないまま工事が進んでしまう工程があります。それが「縁切り(えんぎり)」です。

縁切りは屋根塗装の仕上がりを見ただけでは正しく施工されているかどうかを判断することが出来ません。塗装後の屋根はきれいに見えるため、施主様としても「問題なく終わった」と感じやすく、工事内容を深く確認する機会が少なくなりがちです。

そのため縁切りは業者側の意識や施工方針に大きく左右されます。丁寧に説明し、当然の工程として行う業者がいる一方で説明すらなく省略してしまうケースも残念ながら存在します。

その結果

  • 塗装から数年後に雨漏りが発生した
  • 屋根塗装をしたばかりなのに屋根の傷みが早かった
  • 原因がわからないまま天井にシミが出てきた

といったトラブルにつながることがあります。

縁切りは「施工直後に効果が目に見える工程」ではありません。しかし、やらなかった場合のリスクは確実に蓄積され数年後に大きな問題とあいて表面化します。だからこそ屋根塗装を検討する段階で正しい知識を持っておくことが非常に重要です。

 

縁切りとは何か?屋根の構造から理解する

縁切りとは、屋根塗装の際に屋根材同士が塗料によって密着してしまうのを防ぎ、雨水や湿気の通り道を確保するための作業です。主にスレート屋根(コロニアル・カラーベスト)で必要とされます。

スレート屋根は1枚1枚の屋根材が上下に重なり合う構造になっています。この重なりによって雨水が直接内部に入りにくくなり、同時に屋根全体の強度も保たれています。

重要なのはこの重なり部分に設けられている「わずかな隙間」です。この隙間は一見すると不要に思えるかもしれませんが、実は屋根にとって欠かせない役割を果たしています。屋根内部に入り込んだ雨水や湿気はこの隙間を通って外部へ排出されることで内部が乾燥した状態に保たれます。

ところが屋根塗装を行うと、塗料が重なり部分に流れ込み、この隙間を塞いでしまうことがあります。特に下塗り・中塗り・上塗りと塗り重ねることで塗膜が厚くなり、隙間が完全に埋まってしまうケースも珍しくありません。

縁切りはこうして塞がれてしまった重なり部分を意図的に切り離し、屋根が本来持っている排水・通気機能を回復させるための工程です。見えない部分の作業ではありますが、屋根塗装の品質を支える非常に重要な役割を担っています。

 

縁切りをしないと起こるトラブル

縁切りを行わずに屋根塗装を終えてしまうと、見た目には問題がなくても屋根内部ではさまざまな不具合が進行していきます。ここでは実際の現場で多く見られる代表的なトラブルについて解説します。

 

雨水が屋根内部に滞留する

屋根材の隙間が塗料でふさがれると雨水の逃げ道が失われます。すると水は重力に逆らい、毛細管現象によって屋根材の内部へと引き込まれていきます。

本来であれば自然に外へ排出されるはずの水分が屋根内部にとどまり続けることで屋根全体が常に湿った状態になります。この状態が長期間続くことがさまざまは劣化の原因となります。

 

防水シート・野地板の劣化

屋根材の下には、防水シート(ルーフィング)や野地板といった屋根を支える重要な部材があります。これらは屋根材によって雨水から守られることを前提に作られています。

縁切りがされていない状態では、これらの部材が常に湿気にさらされるため、劣化や腐食が急速に進行します。結果として屋根全体の耐久性が著しく低下し、大規模な修繕が必要になる事もあります。

 

雨漏り・カビ・結露の発生

防水シートや野地板が劣化すると、やがて雨水が室内へ侵入し雨漏りとして現れます。また、屋根裏に湿気がこもることでカビが発生し、健康被害や建材の劣化につながるケースもあります。

 

これらのトラブルは塗装直後ではなく数年後に発生することが多く「原因が分かりにくい」という点も特徴です。

 

縁切りが必要な屋根・不要な屋根

縁切りが必要かどうかは屋根塗装を行う上で非常に重要な判断ポイントです。すべての屋根に縁切りが必要なわけではなく、屋根材の種類や構造によって必要性が大きく異なります。ここを正しく理解していないと「本来不要な工事をされる」「逆に必要な工程を省かれる」といったミスマッチが起こりやすくなります。

 

縁切りが必要な屋根

縁切りが必要とされる代表的な屋根材がスレート屋根(コロニアル・カラーベスト)です。

スレート屋根は薄い屋根材を上下に重ねて施工されており、その重なり部分に雨水の排水や通気の役割を持たせています。この構造自体は非常に合理的ですが、屋根塗装を行う際には注意が必要です。

塗装時に塗料が重なり部分に流れ込むと、もともとあった隙間が塗料で塞がれてしまいます。特に、

  • 築年数が経過している屋根
  • すでに一度以上塗装されている屋根
  • 勾配が緩やかな屋根 といった条件が重なると、隙間が完全に埋まってしまう可能性が高くなります。

この状態で縁切りを行わないまま塗装を終えると、雨水の逃げ場がなくなり、屋根内部に水分が滞留します。その結果、防水シートや野地板の劣化、雨漏りといったトラブルにつながるリスクが高まります。

そのため、スレート屋根の塗装においては、縁切りは「必要に応じて行う工程」ではなく、基本的に必須の工程と考えるべきです。

 

基本的に縁切りが不要な屋根

一方で以下のような屋根材の場合は構造上、基本的に縁切りは必要ありません。

瓦屋根(粘土瓦・陶器瓦)

瓦屋根は、瓦同士の重なりや瓦の形状によって自然に隙間が確保されており通気性・排水性に優れています。また、瓦自体が塗装を前提としていないため、塗料で隙間が塞がれる心配もありません。

そのため瓦屋根では縁切りという工程自体が存在しないのが一般的です。ただし、瓦の下にある漆喰や板金部分の補修は別途必要になる場合があります。

 

金属屋根

金属屋根(ガルバリウム鋼板など)は屋根材同士が重なりながらも、水が内部に滞留しにくい構造になっています。また、スレート屋根のように毛細管現象が起こりにくいため縁切りを行う必要はほとんどありません。

ただし、金属屋根の場合でも施工方法や形状によっては排水経路が複雑になることがあります。そのため塗装前には屋根の状態をしっかり確認し、必要に応じた施工判断が重要です。

 

注意が必要なケース

屋根材としては縁切りが不要な種類であっても、以下のような場合には注意が必要です。

スレート屋根と他の屋根材が混在している

過去の塗装で塗料が厚く塗られている

施工不良によってすでに隙間が塞がれている

このようなケースでは屋根材の種類だけで判断せず、現場の状況を見たうえで適切な対応を取る必要があります。

縁切りが必要かどうかを正しく判断することは屋根塗装の品質を左右する重要なポイントです。だからこそ事前にしっかりと説明してくれる業者を選ぶことが大切です。

 

縁切りの方法①従来の手作業による縁切り

従来では縁切りはカッターや皮スキなどの工具を使い、職人が1枚1枚手作業で行ってきました。この方法は現在でも一部の現場で行われています。

手作業縁切りのメリット

  • 追加部材が不要
  • 屋根の状態に合わせた細やかな調整が可能

手作業縁切りのデメリット

  • 作業に時間がかかる
  • 塗膜を傷つけるリスクが高い
  • 職人の技量によって仕上がりに差が出る

特に上塗り後に無理に縁切りを行うと塗膜を切ってしまい、そこから劣化が進行する可能性があります。

 

縁切りの方法②タスペーサー工法

現在主流となっているのが「タスペーサー」を使用した縁切り工法です。タスペーサーは屋根材の重なり部分に差し込む専用部材で、塗装後も確実にすき間を確保できるのが特徴です。

タスペーサー工法のメリット

  • 均一なすき間を確保できる
  • 塗膜を傷つけない
  • 施工品質が安定する
  • 工期を短縮できる

タスペーサー工法のデメリット

  • 材料費がかかる

ただし、将来的な雨漏りや補修工事のリスクを考えるとヒジョウニコストパフォーマンスの高い工法といえます。

 

縁切りを行う正しいタイミング

縁切りは下塗り後から中塗り前に行うのが基本です。このタイミングで施工することで塗料の密着性を損なわず、屋根本来の性能を維持できます。

上塗り後に縁切りを行うと塗膜を切ってしまい、耐久性が低下する恐れがあります。

そのため工程管理が非常に重要です。

 

見積書で確認すべき縁切りのポイント

縁切りは見積書に明確に記載されていないことも多い為注意が必要です。

確認すべきポイントとしては

  • 「縁切り」または「タスペーサー」の記載があるか
  • 費用が別途なのか、塗装工事に含まれているのか
  • 使用枚数や施工方法の説明があるか が挙げられます。

不明点がある場合は必ず事前に確認しましょう。

 

縁切りは屋根塗装の品質を左右する重要工程

ここまで、屋根塗装における「縁切り」について、その必要性や役割、正しい施工方法、注意点などを詳しく解説してきました。

縁切りは、屋根塗装の中でも見た目では判断できず、手抜きが起きやすい工程です。しかし、その重要性は非常に高く、縁切りを正しく行っているかどうかで、屋根塗装の寿命や建物全体の耐久性が大きく左右されます。

特にスレート屋根の場合、縁切りを行わずに塗装をしてしまうと、雨水の逃げ道が塞がれ、屋根内部に水分が滞留します。その結果、防水シートや野地板の劣化、雨漏り、カビの発生といった深刻なトラブルにつながる可能性があります。これらの問題は、施工直後ではなく数年後に表面化することが多いため、原因が分かりにくく、余計な補修費用がかかってしまうケースも少なくありません。

一方で、縁切りを正しく行うことで、屋根本来の排水機能が維持され、塗装の耐久性も向上します。見えない部分にこそ手間をかけることが、結果的に屋根を長持ちさせ、住まい全体を守ることにつながります。

屋根塗装を検討する際は、塗料の種類や価格だけでなく、

  • 縁切りを行うかどうか
  • どの方法で縁切りを行うのか
  • 見積書や説明にその記載があるか といった点にも、ぜひ注目してみてください。

「縁切り」という言葉を知っているかどうかだけでも、屋根塗装の失敗リスクは大きく下げることができます。納得できる説明をしてくれる業者かどうかを見極めることが、後悔しない屋根塗装への第一歩です。

屋根は毎日、雨や風、紫外線から住まいを守ってくれています。その大切な屋根を長く安心して使い続けるためにも、見えない工程である縁切りの重要性を、ぜひ覚えておいてください。

 

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