スレート屋根の雨漏り3大原因の一つ「縁切り不足」

スレート屋根とは、新築時は雨漏りしにくい屋根材です。しかし、経年劣化に伴い雨漏りする事もあります。

雨漏りのよくある原因としては

屋根塗装時の縁切り不足・踏み割れからの浸水・ケラバ部からの浸水があります。

今回は屋根塗装時の縁切り不足についてをご案内いたします。

 

「縁切り(えんきり・ふちぎり)」とは

スレート瓦(カラーベストやコロニアル)の塗り替え時に塗装する事で屋根材の重ね目が塗料で埋まってしまう事を防ぐために切り離す作業の事を言います。

本来屋根は1枚1枚が重なり合った状態で「屋根」としての役割が担っています。この重なり合った部分は少しの隙間があり、雨水を下へ運ぶことや通気性を良くする役割があります。

しかし、屋根塗装をすると塗料がこの隙間を塞いでしまい、隙間が埋まったままの状態だと毛細管現象を起こして屋根の地盤が腐りやすくなってしまい、室内への雨漏りの原因となってしまうことがあります。

 

縁切りの方法

屋根塗装の縁切りを行うにあたり、施工方法は「カッターを使用する方法」と「タスペーサーを使用する方法」の2通りがあげられます。

◆カッターを使用する方法

作業方法:上塗り塗料が乾燥して固まった後に屋根との隙間を金属ヘラやカッターで切り離していく。

カッターや金属ヘラを使用する方法は従来の縁切り作業として行われていましたが、カッターを用いた作業では以下の問題点が挙げられます。

・屋根材1つ1つをカッターで切り離すため、作業に時間と手間がかかってしまう。

・時間がかかる事で、お客様のコストが上がることにつながる。

・屋根塗装の際に仕上げた塗装を傷つけ、屋根を汚してしまうおそれがある。

こういった問題点が考えられるため、現在ほとんどの業者ではこの方法はあまり採用されていません。

 

◆タスペーサーを使用する方法

作業内容:下塗り乾燥後に1枚の屋根材に対して15センチ間隔で2個のタスペーサーを挿入する。※屋根材の計上によって変わります。

「タスペーサー」とは、屋根塗装の下塗りが完了した時点で屋根材の間に差し込むものです。タスペーサーを挿入することで隙間を簡単に確保することができるので、カッターによる縁切り作業をする必要がなくなります。

それに加えて、以下のメリットも挙げられます。

・綺麗に塗装した屋根を汚すことがない。

・カッターによる縁切りよりも、タスペーサーを挿入することの方が時間短縮につながる。

・時間短縮ができることにより、人件費コストも抑えられる。

カッターを使うよりもいくつものメリットが挙げられるため、多くの業者でタスペーサーを用いた縁切りが行われています。しかし、スレート屋根の隙間が4mm以上ある屋根はタスペーサー自体を挿入しても落ちてきてしまうため、必要がありません。

 

縁切りをしなかった場合に起こり得る劣化症状

・屋根下地材の劣化

屋根が重なり合った部分に雨水などの水分が排水されずに溜まってしまい、屋根材下部にある下地を腐食させてしまう恐れがあります。

下地は通常、ルーフィングと呼ばれる防水シートが敷いてあるために少しの水であれば下地材の腐食はありません。しかし、長期間雨水に晒されたルーフィングと下地材は、次第に防水力を失い、やがて屋根内部に水が侵入してしまい雨漏りなどの被害に繋がります。

・屋根の通気性が失われる

縁切りをしないと、隙間が塞がれてしまうため屋根の通気性も失われます。

その為水分だけでなく、湿気もこもってしまい下地材の腐食を加速させてしまいます。

 

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