屋根塗装の縁切りとは
「縁切り」とは
屋根の隙間は排水の要
屋根材には様々な種類がありますが、どの屋根も、1枚1枚が重なり合って、ひとつの「屋根」を形成しています。
この屋根材が重なり合っている部分には、ちょっとした隙間が生じます。
実はこの隙間には、屋根の内部に入り込んでしまった雨水を排水するという、非常に重要な役割があります。
しかし、屋根塗装をすると、屋根が重なり合った部分の隙間が塗料で埋まってしまいます。
隙間が塗料で閉じられてしまうと、雨水などの水分が隙間の中に溜まってしまい、内部に溜まった水に、屋根外側の水もどんどん吸い寄せられるという「毛細管現象」が誘発される可能性が高くなります。
水分がどんどん屋根材の内部に浸水すると、屋根材の下にある野地板が腐りやすくなるため、室内の雨漏りなど、屋根や住宅にさまざまなリスクをもたらしてしまいます。
そのため、塗料で埋まってしまった屋根材の隙間は、専用の道具で塗料を取り除かなければならず、その作業こそが今回ご紹介する「縁切り」です。
縁切りの工程では、カッターナイフや皮スキと言われる専用の道具で、職人さんが、隙間をひとつひとつ手作業で処理していきます。
そのため、屋根の大きさよって異なりますが、30坪程度の一般的な住宅の場合、職人さん二人がかりでも、丸一日作業を行わなければならず、非常に手間と時間がかかります。
また、縁切りを行うために移動する際、せっかく塗装した屋根の表面を踏んで行かなければなりません。
このような、従来の縁切り工法の難点を解消するために、近年、多くの塗装業者で採用されている方法が「タスペーサー」という道具を使った縁切り作業です。
屋根と屋根が重なっている部分の間に、タスペーサーを差し込んでおくと、このあと中塗り、上塗りを施しても、塗料がタスペーサーに遮られて隙間を塞がなくなります。
(下塗りが終わった時に、タスペーサーを取り付けます)
このようにしておくことで、塗料が乾いたあと、屋根表面を歩き回って手作業で隙間を開ける縁切り作業が不要になります。
タスペーサーが使用できない屋根もある
タスペーサーは、
●三寸(7°)に満たない緩やかな屋根
●屋根材同士の隙間がもともと4ミリ以上空いている屋根
などのケースでは使用することができません。
傾斜が緩やかな屋根にタスペーサーを挿入すると、誤って屋根材を傷める恐れがあり、隙間が大きすぎるとタスペーサー自体が安定せず、結局縁切りを行わなければならないためです。
このような屋根では、従来の手作業による縁切りを行わなければなりません。
縁切りの必要がない屋根
縁切りの必要がない屋根には、屋根材の種類自体が縁切りを不要とするケースもあれば、家の築年数や屋根の勾配などが原因で不要なケースもあります。
※勾配が急な屋根
※新築後、初めて屋根塗装のリフォームをする場合
etc.
まとめ
縁切りは、屋根の種類によっては必要のないことなのですが、必要のある屋根材の場合には、とても重要な役割を持つのです。
屋根塗装を施す際には、自宅の屋根の材質や種類などを確認しましょう。